太古の火を手に入れろ!

きりもみ式発火法をやってみた

先日ご紹介したとおり、摩擦式発火法の1つである「きりもみ式発火法」を実践してみました。この「きりもみ式発火法」は、縄文時代から行われていた原始的な発火方法といわれています。せっかく摩擦式発火法について勉強したのですから、もっとも古い方法に挑戦してみたくなりました。

ネットで調べてみると「火起こしセット」が各種販売されており、今回は「きりもみ式発火法」のセットを購入することにしました。

想像以上に大変でした

火起こしセットは、火鑽棒(ひきりぼう)、火鑽臼(ひきりうす)、火鑽棒の替芯、火口(木屑と麻布)が入っていました。火鑽棒の先端に替芯をセットして、火鑽臼の穴にセットします。この際、火鑽臼の下に乾燥した葉や紙などを用意しておくと便利です。火鑽棒を回すとそこから木屑が発生し、その木屑に熱がこもり発火します。それをうまくキャッチするために、下敷きとして葉や紙を敷いておくというものです。

まずは、一人でやってみます。他の方の動画などでかなり重労働であることは理解できていたので、まずは掌を保護すべくゴム手袋で火鑽棒を回すことにしました。ところが、ゴム手袋は、グリップ力が強すぎで、ゴム面が火鑽棒に絡まって回しにくいことこのうえない状態です。これでは、作業効率が低下するため、素手で回すことにしました。素手の方が断然回しやすかったです。

素手で回し始めると徐々に煙が立つのですが、そこから先になかなかすすめません。どうも火鑽臼が安定しておらず、回転の力がうまく伝わらず逃げているように感じました。

火鑽臼はきちんと固定すべし

このままでは埒があかないと思い、長女を招集し、火鑽臼を押させえてもらうことにしました。するとどうでしょう。気を取り直して火鑽棒を回し始めること30秒、早くも煙が立ち込め、長女が焦げ臭いからと鼻を腕で覆いました。

さらに60秒経過したあたりで焦げ臭い匂いがあたりに立ち込めます。かなり鼻につく焦臭さです。その後90秒が経過する頃には、もくもくと煙が立ち込めます。この段階になると火鑽棒を回すのをやめても煙が発生します。さらに念を押してもう30秒回しました。

ついに古代の火を手に入れた!

するとどうでしょう。回し始めて約120秒、火鑽棒を回すのを停止し、火鑽臼に注目すると黒くなった木屑自身の一部が赤く光っているではありませんか。これは間違いありません。火種ができた瞬間です。これを事前に麻紐をほぐしておいた火口に慎重に移します。ここでミスをしたらこれまでの苦労は水の泡になってしまうので、極めて慎重かつ迅速に処理します(実は1回ミスりました)。そっと麻紐の上に移したら、麻紐で包みます。煙が出てきますので、優しく息を吹きかけると徐々に火種は大きくなり、ポッと火がつきました♪

この瞬間、感動のあまりにため息が出てしまいました。始めて古代の方法に挑戦しましたが、無事に火がついてよかったです。火を大切にしようと心底思いました。

きりもみ式発火法のコツ

今回、きりもみ式発火法を実践した結果、以下を気をつければうまくいくように感じました。

  1. 火鑽臼はきちんと固定すること
  2. 火鑽棒は煙が出るまで休みなく回すこと
  3. 火鑽棒は火鑽臼に押し込むイメージで回すこと(より摩擦効果が得られる)
  4. 焦げ臭い匂いがしてもそこで安心しないこと
  5. 煙が十分に立ち、木屑が赤く熱することを確認すること
  6. 木屑が赤く発火したらそっと火がつきやすい素材に移すこと
  7. 素材で火種を包み込んだら優しく息を吹きかけること

この一連の過程を動画にまとめましたのでぜひご覧ください!

編集後期

このきりもみ式発火法は、かなり力を強く火鑽棒を火鑽臼に押し付けるように回すため、非力な小学生には向いていないと感じました。わたしが成功してから9歳の娘が挑戦しましたが、10分以上回し続けても火がつかず、ただただ機嫌が悪くなるだけでした。子ども向けには、弓切り式やマイギリ式の法が合っているのかもしれません。これらの発火方法もいずれ実践して、きりもみ式との違いなどもご紹介できればと思います。当時から簡単に着火したのであれば、その後、弓切り式やマイギリ式は生まれていないはずですからね。どうしたらもっと楽に火を起こせるか考えた結果だと思います。

その後、機嫌を直してもらおうとファイアースターターを使って火花をつけて見せたらすっかりハマってしまい何度も火花を発生させて遊んでくれました。火起こしが嫌いにならなくてよかったです。

火起こしが終わり片付けを始めると掌がジンジンと痛み始めました。かなり力を込めて思い切り棒を回したので掌が痛くなってしまいました。1日経過しましたが、この文章を打っている今も痛みがあります。これは予期せぬ筋肉痛ならぬ火起こし痛ですね。摩擦式発火法は、重労働ですが、火がついた時の達成感は得難い経験だと思います。やったぞー!という達成感は、半端なかったです。ご興味があればぜひ挑戦してみてください。

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